グロース株投資のメリットとデメリット

株式投資の手法として「グロース株投資」というスタイルを聞いたことがある方もいると思います。代表的な投資手法のひとつではありますが、インデックスや高配当株に比べるとマイナーで内容を理解していない方もいるのではないでしょうか。今回はグロース株投資のメリット・デメリットと実際に銘柄を選ぶ方法を解説していきます。

グロース株投資とは

グロース株(成長株)とは利益の成長率が高い銘柄のことを指します。グロース株投資では、グロース株の爆発的な利益成長によって株価が値上りすることを期待して投資します。将来有望な企業について数年後の価値を予想して投資するイメージですね。

例えば企業価値と株価の推移は次の表のような感じになります。

現在3年後5年後
企業価値30100200
時価総額(株価)60150???

現在の実際の企業価値は30と小さくても3年後に3倍以上に成長する見込みがあるため、期待を込めて時価総額は60と割高な水準になっています。実際の企業価値と時価総額(株価)のギャップは利益成長幅になるため、利益成長が長く続いたり、加速することで株価はどんどん上昇していきます。

バリュー株投資との比較

バリュー株投資は本質的な企業価値と時価総額(株価)の乖離を探して投資します。企業自体の成長は必要なく、株価が企業価値に見合った水準に訂正されるのを待つ投資法になります。企業価値と時価総額の関係は次の表のイメージです。

現在3年後5年後
企業価値100100110
時価総額(株価)80100110

グロース株とは異なり、現在の時価総額が企業価値を下回っている銘柄を探し出す必要がありますが、株価と実際の価値のギャップを探すという意味では同じです。

インデックス投資との比較

インデックス投資では経済全体の成長に対して投資します。世界経済は中長期的に成長を続けるため、長い目線でみれば堅実で人気な投資手法ですね。

グロース株投資のメリット

グロース株投資には次のようなメリットがあります。

  • 大きな利益が狙える
  • 短期間で利益が得られる
  • 上昇の初動を狙える
  • テンバガーを狙える

大きな利益を狙える可能性がある

グロース株投資で最大のメリットは狙える利益の大きさにあります。グロース銘柄の株価は企業が高成長を維持し続けるほど青天井で上昇を続けるため、株価が2倍以上に上昇することも珍しくありません。

バリュー株投資では本来の企業価値との差が利益に、インデックス投資では世界経済の成長速度(年平均+6%)が利益になるため利幅が限られる点とは対照的です。

短期間で利益を得られる可能性がある

グロース株投資は短期間で資金を増やす方法としても優れています。強気相場では1か月+20%の上昇トレンドが数か月続く銘柄も存在するため、うまく乗ることができれば資金を一気に増やすことができます。

上昇の初動を狙うことができる

バリュー株投資では企業価値と時価総額のギャップが訂正されるのを待ち続ける必要がありますが、訂正が起こるタイミングを読むことは困難です。一方でグロース株投資では株価上昇の直前に特徴的なチャートパターンが現れることが知られています。テクニカル分析の腕を磨くことで、上昇の初動を捉えることができれば塩漬け株を作ることなく資金を効率的に活用することができます。

テンバガー候補の小型株も多い

テンバガーを達成するためには、企業の成長が欠かせません。過去テンバガーを達成した銘柄の多くはグロース株でした。

テンバガーになる銘柄の特徴は以下の記事で詳細を解説しています。

グロース株投資のデメリット

グロース株投資のメリットを紹介してきましたが、デメリットも存在します。

  • 割高な銘柄が多い
  • ボラリティが大きい
  • リスクヘッジが難しい
  • 金利上昇局面に弱い

割高な銘柄が多い

グロース株の株価は近い将来の急成長を織込んでいるため、一般的な銘柄に比べると割高です。株価の割高割安の参考に使用されるPERでみると、市場平均のPERが15~20倍程度に対し、グロース株は50倍超となっています。時には100倍を超える銘柄も存在します。投資家の期待が大きく、株価が現在の企業価値の数倍になってしまっているのです。もし期待が裏切られてしまえば、大暴落が起こる危険もあります。

ボラリティが大きい

優れたグロース株の上昇トレンドでは、マザーズ指数の2倍以上の株価上昇も珍しくありません。しかしトレンドが反転し下落が始まると、下落速度も株価指数以上です。連日-5%の下落が続くこともあります。

大きな利益を狙えること(リターン)にばかり目が行きがちですが、下落局面に大きな損失を被る可能性(リスク)があることも認識しておきましょう。

リスクヘッジが難しい

グロース株の値動きはマザーズ指数に連動することが多いです。リスクヘッジとしてマザーズ指数連動型ETFの空売りを使いたい場合でも以下2つの問題点があるためうまく行きません。

  1. 流動性の高いETFがない
    マザーズ指数に連動するETFには東証マザーズETF(2516)がありますが、日経平均株価に対するリスクヘッジでよく使われる日経ダブルインバース(1357)に比べると流動性(出来高)が低く、実用性に乏しいです。
  2. グロース株のボラリティが大きすぎる
    優れたグロース株は下落に転じると指数を大幅に上回る下落が起こります。他の銘柄の空売りでリスクヘッジを行うことは現実的ではありません。

以上の理由から、グロース株のリスクヘッジはポジション調整(下落しそうなら売る)が唯一効果的な手法と考えられます。

金利上昇局面に弱い

大きな利益が狙えるグロース株ですが、いつでも高パフォーマンスを出せる訳ではありません。金利上昇局面ではバリュー株に劣る銘柄も多いです。

グロース株の選び方

グロース株投資のメリットとデメリットが分かったところで、実際の銘柄選びの方法を確認してみましょう。

よいグロース株を選ぶ際に見るべきポイントは次の3つです。

  • 成長率
    売上と利益が急上昇していること
  • 利益率
    売上に占める利益の割合が高いこと
  • 需給
    株を買いたい投資家が売りたい投資家より多いこと

ファンダメンタルズ面では、事業が拡大し利益が増えていることを確認するために成長率と利益率を見ます。また実際に株価があがる銘柄を選ぶためにはテクニカル分析で需給を確認することも不可欠です。

企業の成長力や事業内容が優れていても需給が悪ければ株価は上昇しません。投資家にとって良いグロース株とは値上がりする銘柄だけであることを忘れてはいけません。

グロース株のスクリーニング方法は「オニールの成長株発掘法」という書籍を参考にすることをおすすめします。

当ブログでもオニールの成長株発掘法を基にしたスクリーニング方法を紹介していますので合わせてご確認ください。

まとめ

成長する企業に投資するグロース株投資は株式投資の中で王道といえるでしょう。さらに利益も狙えるのだから魅力満載ですね。メリット・デメリットをよく理解して、グロース株投資に取り組みましょう。

けろ
けろ

グロース株投資は個人投資家の浪漫!

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