投資にメンタルの強さは必要なし―不確実性を前提とした投資マインド

株式投資ではメンタルが大切とよく言われます。欲望や恐怖の感情に支配されてしまうと、冷静な投資判断ができず損失が膨らむ危険がありますからね。成功のカギである損小利大を実現するため、判断を狂わす原因のプロスペクト理論を学ぶとともに、欲望と恐怖を克服するための投資マインドについて考えてみましょう。

このページで分かること

プロスペクト理論
 人間が欲望と恐怖に負けるのは自然なこと
 プロスペクト理論を理解し期待値を重視しよう
投資家に必要なマインド
 精神力は必要ない
 心が乱れる要因を排除することが重要
 不確実性を受け入れ期待値に賭ける

プロスペクト理論が投資の状況認識を歪める

株式投資に取り組む中で投資ルールを破る原因となっている人間心理は、プロスペクト理論で説明することができます。プロスペクト理論とは行動経済学の考え方であり、損益が関わる意思決定プロセスの中で起こる不合理な選択を説明するものです。2つの例を通してプロスペクト理論を学んでみましょう。

CASE1:利益に対する感受性を確認しよう

次の2つの選択肢があった場合、あなたならどちらを選びますか。

  1. 確実に100万円を貰える
  2. コインを投げて表なら200万円を貰えるが裏なら何も貰えない

CASE2:損失に対する感受性を確認しよう

あなたに200万円の借金があるとした場合、次の2つの選択肢があればどちらを選びますか。

  1. 確実に借金が半分の100万円になる
  2. コインを投げて表なら借金は0円になるが、裏なら借金200万円のまま

さてあなたはどの選択肢を選びましたか。期待値で考えると全ての選択肢は+100万円なので、どれを選ぼうが数学的な差異はありません。しかし利益が得られるCASE1では「利益を失うリスクを回避する」選択肢1を、既に損失を抱えているCASE2では「目の前の損失を回避する」ことに期待して選択肢2を選ぶ傾向にあるというのがプロスペクト理論です。

人間は生まれ持った性質として利益はより確実なものを、損失は確実さより小ささを優先する傾向にあります。含み益が乗っているときに早めに利益確定をしてしまう、損切りせずに塩漬し反発を願うといった行動はプロスペクト理論で説明できますね。

このように人間は利益と損失に対する感受性が歪んでいるので、損小利大に反した行動をとりやすくなります。結果として利益は伸びず損失は膨らみ負け組投資家への道を歩んでしまいます。

損小利大を実現するための第一歩は、損益に対する感覚を修正し相場の状態を正しく理解することです。

投資家マインドを養うメンタルトレーニング

損小利大を実現するためには、感情抜きに状況を分析し確率に基づいた判断を行うマインドを身に着ける必要があります。しかし欲望や恐怖に打ち勝つ強いメンタルを手に入れる必要はないですよ。恐怖はともかく欲望をなくすことはできませんからね。次の4つのステップを経て投資マインドを養っていきましょう。

相場の不確実さを受け入れる

相場分析を頑張れば常勝投資家になれると思いたいところですが、100戦100勝の投資家は存在しません。相場の方向性を作り上げるのは参加する全投資家の心理です。類似のチャートパターンであっても関与している投資家が全て同じということはあり得ないので、過去の経験を基に100%正しい判断はできません。また自分自身が操ることができるのはポジションを取るか、手仕舞うかという部分だけであり、株価の行方はどうすることもできませんよね(大口投資家の方は除く)。つまりいくら分析を行おうと取引から運要素を完全に排除することは困難です。

確実な予測はできない上に自分で制御することもできない株価の動きに一喜一憂するのは馬鹿げていると思いませんか。一定の確率で負けてしまうことは避け難いことです。株式投資で不確実性を取り除けない事実を認め、不確実性を受け入れることが確率に基づいた判断をするための第一歩です。

取引を期待値で考える

不確実性を取り除けない以上、特定の取引で100%勝つこと不可能です。「取引の勝ち負けで運要素を排除できないならカジノと同じじゃん」と失望された方は鋭いですね。胡散臭い話と思われるかもしれませんが投資もカジノも勝つ方法は同じです。

トランプを用いたゲームの中には、自分の手札から勝率を推測できるものがあります。ゲームの勝率を推測できるのであれば、1度のゲームで100%勝つことは不可能でも勝率が60%以上の場合のみ勝負を仕掛ける決まりでゲームを続ければトータルでは勝てる可能性が高いですよね。このような姿勢でゲームをしている場合、勝負ごとに一喜一憂しません。ただひたすらルールを守ってゲームに参加し続けることで勝てることが分かっているのですから。すなわち期待値がプラスのルールを採用してゲームに参加していれば、ゲームが終わった時点で勝っている可能性はとても高いと考えられます。

同様に投資も期待値がプラスのルールを採用し取引を重ねていけば勝てると考えることができます。期待値をプラスにする方法は何でも構いません。一般的なテクニカル分析でも期待値をプラスにすることは十分可能です。ちなみにインデックス投資も長期で期待値がプラスになるルールを採用した投資スタイルの好例ですよね。

インデックス投資家が日々の値動きに一喜一憂せずに買い増していくように、テクニカル分析を使った個別株投資家も期待値に応じて淡々とトレードしていくしかないのです。

個別株投資のルール作りで意識すべきことは以下の記事で解説しています。

ルールを守り続ける

期待値に応じて淡々とトレードするなんて言うは易く行うは難しです。損益が関わってくるとどうしても動揺してしまうのが普通でしょう。期待値で投資する感覚に慣れていくしかありません

慣れるまではポジションサイズを落とすことをおすすめします。お金が動かないデモトレードであれば、ルールを守ることは簡単ですよね。慣れてきた小資金で実際に取引をしてみましょう。損しても動揺しないくらいの金額から始め冷静な取引を行うことができるようになれば資金量をあげていきましょう。

慣れていないうちは言い訳の余地がない明確なルールがおすすめです。エントリーも手仕舞いも指値と逆指値を使ってしまえば言い訳する暇もないので有効活用したいですね。明確なルールに従って口座資金全てを有効活用できるようになれば、期待値に従って淡々と投資するマインドを獲得できたと言えるでしょう。自分は客観的に相場と向き合えているか、欲や恐怖が投資ルールを捻じ曲げようとする力が働かないかを考えながらトレードしてみましょう。

客観的に相場状況に反応する

欲や恐怖が投資判断を歪めるような感覚が完全になくなれば、場中でも客観的な判断が下せる能力を獲得したことになります。相場の状態を冷静に見極めて指値の値段を変えることも可能になります。

普通の人間がこの域に達するためには長い訓練が必要です。ゆっくり着実に技術を磨いていきましょう。

投資日記で期待値を評価する

前述した投資マインドを獲得したとしても、投資ルールの期待値がマイナスでは勝てません。期待値を算出するためには自分の投資成績を記録し分析する必要があります。期待値を算出するための投資日記の書き方は以下の記事で紹介していますので合わせてご確認ください。

参考書籍

投資に必要なマインドについて偉そうに解説しましたが、私も皆様と同じ迷える兼業個人投資家です。ぜひ偉人たちの考え方に直に触れてみることをおすすめします。このページでご紹介した内容は「ゾーン最終章」が基になっています。

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